素隠居とは、当地岡山県倉敷市にある阿智神社のお祭りの御神幸の雌雄の獅子に付き添う翁(じじ)と媼(ばば)の面をかぶった若者を指します。
この素隠居は元禄5年(1692年)阿智神社にほど近い戎町の宰領をつとめていた沢屋善兵衛が寄る年並に勝てず、人形師の柳平楽に頼んで「じじ」と「ばば」の面を作らせ、店の若者にこの面をかぶらせ、主人の代理として御神幸の行列に参加したことに始まるとされています。
素隠居という呼び名は明治以後誰彼となく、この「じじとばば」のことを呼びはじめたようですが、ただの御隠居という意味で「素の隠居」であったり、「素晴らしい隠居」であったり、「素朴な隠居」というような意味が語られています。
この素隠居の面は見ていただいての通り、「らっきょう」の形に似ていることから怯えながらもこの素隠居を挑発する子供達は「すいんきょ、らっきょう、くそらっきょう」とはやしたてて逃げまどうのです。
素隠居が持っている渋うちわで頭を叩かれると、賢くなるとか、健康になるとか言われています。だから、ここ倉敷の親は子供(赤ちゃんに近いぐらいの子供)が怯え、泣き叫んでもその子供の頭を素隠居の前に差し出します。
どんどん叩かれましょう!